金沢文化スポーツコミッション

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STORY

茶道と弓道

弓道と茶道はともに長い歴史を有し、厳しい作法が現代に伝承されていますが、茶道の作法のうち、とりわけ柄杓の使い方に弓道との関連性が見受けられます。
竹の柄杓は、鎌倉時代の弓師が製作したとの説もあり、武士の嗜みとして発展した茶道のしゃくの扱いに弓の作法が残っています。
茶道の流派のひとつ裏千家では、「置き柄杓」、「引き柄杓」、「切り柄杓」の3種類の柄杓の扱い方があります。

置き柄杓

茶道の「置き柄杓」は、湯を汲んだ後、釜の口に柄杓を置くときの扱いです。
弓道で「弓に矢をつがえる形」からきているとされています。

  • 置き柄杓

  • 弓をつがえる手の形

引き柄杓

茶道の「引き柄杓」は、薄茶での、しまいの茶筅通しのときの扱い方です。
弓道で「弓をひいて満月に張った形」からきているとされています。

  • 引き柄杓

  • 弓を引いた手の形

切り柄杓

茶道の「切り柄杓」は、抹茶を点てるときに、茶碗に抹茶を入れ、お湯を半杓入れた後、残りを釜に戻して柄杓を置く際に行う扱い方です。
弓道で矢を放った瞬間(離れ)の形からきているとされています。

  • 切り柄杓

  • 矢を放った瞬間の形

茶道も弓道も、静寂の世界の中で無心にして決められた所作を行います。呼吸を調え、集中すること。また立ち、坐りや手先の動作などは、日本文化の伝承を受けて正しい姿勢による美の姿を表すなど、互いに共通性が多く見られます。

このストーリーは、2018年10月19〜21日に開催された全日本弓道遠的選手権大会でご紹介しました。