金沢文化スポーツコミッション

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STORY

輝け!バドミントン王国・石川

「バドミントン王国」として、これまで数々の栄光の記録を刻んできた石川。
2025年3月、全国高校選抜大会の金沢開催が決まり、地元選手のレベルアップに向けた金沢オープンが次々行われるなど、今、石川のバドミントンがさらなる盛り上がりを見せています。
そこで今回は、地元バドミントン界を牽引するキーマン・石川県バドミントン協会理事長の毛利達彦さんに、石川のバドミントン、今後の夢、大会誘致などについて伺いました。

■お答えいただいた方
毛利 達彦(もうり たつひこ)さん 
石川県バドミントン協会 理事長
日本バドミントン協会 理事
選手強化本部副本部長 ジュニア強化部部長
選手時代の主な成績
・全日本総合選手権大会:シングルス ベスト8 1回、
 混合ダブルス 準優勝 1回 3位 1回
・全日本社会人選手権大会:シングルス 準優勝 1回
 3位 1回 
・全日本シニア大会:40代シングルス 優勝 2回 など

石川はなぜ「バドミントン王国」と呼ばれるのでしょうか

第18回(1967年)全国高校総体で初優勝した金沢市立工業高校。この後、昭和51年までの間に計5回優勝した。(写真:石川県バドミントン協会創立50年史より)

石川のバドミントンの歴史は戦後まもなくスタートしました。昭和22年(1947年)戦禍を免れた金沢で第2回国民体育大会(国体)が開催され、そこで公開競技として紹介されたのがバドミントンでした。当時テニス選手だった中島寿祷さんが初めて見たバドミントンの虜になり、すぐにテニス仲間と共に金沢バドミントンクラブを結成、昭和23年の県バドミントン協会設立へと発展しました。
当時から、熱い思いをもつ人々が一丸となり、いち早く競技の普及や選手強化に取り組んできました。そのおかげで、金沢二水高校男子が昭和27年、29年の全国高等学校選手権大会(全国高校総体)で優勝し、その後も金沢市立工業高校や金沢向陽高校の活躍や、国体での3度総合優勝など、輝かしい実績を残してきています。
個人でも、第1回世界バドミントン選手権女子ダブルスで優勝した栂野尾悦子選手をはじめ、銭谷欣治選手(現:日本バドミントン協会専務理事)や舛田圭太選手(現:ナショナルチームBコーチ)、三谷美菜津選手など、多くの全日本チャンピオンを輩出しています。
長年にわたりこのような活躍をしているところは他になく、それが「バドミントン王国」と呼ばれる所以です。

ご自身も選手として数々の大会で記録を残してきたお一人ですが、選手時代のエピソードを聞かせてください
中学生からバドミントンを始めましたが、中学・高校時代は目立った成績を残す選手ではなく、上位に入賞するようになったのは大学に入ってからです。そのきっかけは、ラケットの握り方を変えるよう先輩から指導されたことでした。それまでは技術的には全然だめで、足のフットワークだけでカバーしていました。右手の親指を少しだけ持ち替え、それを一生懸命練習することで上手くなり、23歳のときには、全日本社会人大会のシングルスで準優勝しました。
選手時代は決して順風満帆ではなく、調子の良いときに限って大きなけがに見舞われました。
全日本社会人大会準優勝の直後、交通事故に遭いました。事故による突き指から無理な打ち方になり、肩を痛め、速いスマッシュが打てなくなりました。事故の1か月後に国体があり、足のフットワークとクリアー、カットでなんとか勝つことができましたが、大変な試合でした。
悔しい試合もいろいろ経験しました。特に心に残っているのは全日本総合選手権です。
昭和59年の男子シングルスでベスト8入りし、ナショナルチームのメンバーへの声がかかったのですが、当時ナショナルメンバーは国体への出場ができなかったため、メンバー入りを辞退しました。
それから4年後、再びベスト8入りのチャンスが巡ってきました。
セットカウント1-1、ファイナルゲーム1410でマッチポイントを握り、勝利目前。そこで打った甘い球へのスマッシュがわずかにコート外へ。そこから逆転負けを喫してしまい、残念ながらナショナルチームのメンバー入りは叶いませんでした。今でも惜しまれる試合です。

  • 選手時代の毛利さん(第41回(1986年)国体出場時)

  • 総合優勝に輝いた第46回(1991年)石川国体でも活躍(写真:石川県バドミントン協会創立50年史より)

現在、地元選手の強化に向けて、数々の金沢オープン開催などに尽力されています。全国大会誘致の意義や思いを聞かせてください。

全国小学生大会など全国規模の大会を金沢で開催することは、参加する地元選手の強化につながり、着実にレベルアップしていくと思います。やはり上手な選手のプレーを実際に目にすると、子どもたちは憧れを抱きますし、影響を受けます。
また、大会は広く一般の人にバドミントンを知ってもらう機会となります。「私もやってみたい!」と思う人も出てくるでしょうし、今後の競技人口拡大につながっていくと期待しています。
これまでの大会では、金沢文化スポーツコミッションと協力し、開会式での太鼓演奏や”加賀八幡起上り”の絵付け体験など「スポーツ×文化」のコラボレーションを行ってきました。大会中、選手たちは試合に集中しなくてはいけないので、あまり負担をかけることはできません。しかし、試合後や合間のちょっとした時間を使って金沢の文化を知る体験ができることは、県外から参加する選手たちにとって良い思い出になると好評です。なかなかこのような大会を行うところはありませんし、何より選手たちが楽しんでいることが嬉しいです。大会をきっかけに、将来また金沢・石川に来たいと思う人も増えるでしょうし、金沢の活性化につながっていくのではないでしょうか。

  • 日本トップリーグ「S/Jリーグ2019金沢大会」の様子 会場は観客でいっぱい

  • 「S/Jリーグ2019金沢大会」開会式では。選手入場時に太鼓演奏で歓迎

  • さまざまな大会で人気!縁起物「加賀八幡起上り」絵付け体験

  • 思いを込めてつくるオリジナルの起上りは、大会のお土産になると好評

    バドミントンを通しての夢を聞かせてください

    現在、石川ではジュニア強化に力を入れています。U13・U16ジュニアナショナルメンバーにそれぞれ1名が選出されていますが、さらに多くの選手がナショナルメンバー入りすることを期待しています。そのため、石川のバドミントンの技術的なレベルアップを図れるよう、また「勝ちたい!」という気持ちを強く持てるように後押しをしていきたいです。地元選手たちが日本、海外で活躍すること、さらにはオリンピックや世界選手権でメダルを獲得する日が来ることを願っています。
    日本バドミントン協会選手強化副本部長として、世界のランキングポイントや賞金のかかった大会をぜひ金沢に誘致したいと考えています。
    世界レベルの戦いを間近で見ることは、選手の強化はもちろん、子どもたちに夢を与えることになるでしょう。世界の選手たちが出場する大会で、地元選手が活躍してくれるとさらにいいですね。
    大会を通じて、世界の人たちに金沢を知ってもらえる機会を作ることができます。その人たちが金沢来訪のリピーターになってくれると嬉しいですね。